ニキビ
ニキビ(膿疱性ざ瘡)は体質的な病気です。内服薬、外用薬を処方してもらってもすぐには完治しません。長期に通院する気持ちで通ってください。
ニキビの皮疹(ひしん)は年齢の推移とともに移動します。一般的には、小学5~6年生から中学1~2年生の時期は顔面、特におでこに多くニキビができやすく、年齢が増すごとに ほほ、あご、首、体幹と体の下部へ下降していきます。
ここで注意すべき点は、あご・首・体幹のニキビはケロイドなどになりやすいことです。また、人によって顔面だけ、前胸部だけ、というようにニキビが限局してできているケースがある一方で、好発部位すべてにできる人もいます。
また、カネミ油脂事件で知られる公害物質のPCB(ポリ塩化ビフェニル)も体の中に入ってから毛包脂腺系から排出されるため、カネミ油脂患者はニキビの症状でよく知られています。
ニキビによくない食品と生活習慣
食物の注意点としては海草があります。海草に含まれるヨードはハロゲン元素の仲間で、体の中に入ると毛包脂腺系から排出する特徴があるため、ニキビの皮疹を悪化させると考えられています。
その他ニキビに良くない食品と生活習慣として以下のものがあげられます。ニキビは嗜好品、食品、生活状態の注意でかなり軽減されます。
ニキビのお手入れについて
ニキビの治療はここ数年で劇的進歩を遂げ、特に外用薬治療は素晴らしい進歩がありました。当院では外用薬治療を経時的に3つのステップに分けて治療しています。
Step 1
洗顔後、デュアックを1FTU(※)とり、綿棒で患部にのせるように塗布し、ヒルドイドローションで保湿する。
※1FTU(Finger Tip Unit)とは、チューブに入った塗り薬を成人の人差し指の先から第一関節の長さまで出した量のことをいいます。1FTUは約0.5gで、大人の手のひら2枚分の面積に塗れる量の目安となります。
Step 2
洗顔後、ベピオゲルとディフェリンゲルを混ぜ、1FTU綿棒で患部にのせるように塗布し、ヒルドイドローションで保湿する。
Step 3
洗顔後、エピデュオゲルを1FTU綿棒で患部にのせるように塗布し、ヒルドイドローションで保湿する。
なお、12歳以下の低年齢の患者さん中心に、昔から親しまれているイオウカンフルローションも使用します。朝は上清液を、夜はイオウカンフルローションをよく振って塗布し、ヒルドイドローションで保湿します。
皮膚科に来院される患者さんで問題になるのは、アトピー性皮膚炎+ニキビの混合の場合です。ニキビの薬はどれも乾燥する傾向にあり、使用する薬によっては肌荒れの危険性を秘めています。
当院では一連のニキビの薬を使用する際に単なる保湿剤ではなく、キンダベートとヒルドイドの混合剤を処方し、ニキビの外用薬での乾燥を防ぐ方法をとっています。
内服薬ではビタミンB₂、ビタミンB₆、マクロライド系クラリス、女性に対しては漢方薬クラシエの十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)の錠剤を、男性には荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を処方しております。
炎症がひどく、そのままでは炎症性表皮になりそうな場合は、抗菌作用のあるゼビアックスローションを短期間処方して塗布を指示します。
また、患者さんの希望によりフラクショナルCO₂レーザー治療によるニキビ跡にも対応しております。