よくあるお悩み 05

帯状疱疹
(たいじょうほうしん)

帯状疱疹は水疱瘡(みずぼうそう)という病気の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスによって発症する病気です。一生に一度しかかからないとされていますが、当院で累計8,000人以上受診されている患者さんの1割近くは2回以上くり返し発症しています。

水痘にかかると喉でウイルスが増え、血中にウイルスが入り込みます。その結果、皮膚にウイルスが増殖し水疱を形成します。

このウイルスは脊髄神経、脳神経の神経節に入り込み、数十年経ってから体調不良やストレスなどが誘因となって、ウイルスの再活性化が起こります。そして発病するのが帯状疱疹です。

帯状疱疹の特徴

神経の走行に沿って病巣が形成されます。神経節は左右一対ずつあるため、通常見られる病巣は右か左のどちらかで、病名の如く帯状に病変が出現することが多いようです。

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この病気は特に激しい神経痛様の疼痛を伴います。痛みの程度は罹患年齢が上であればあるほど強く長く残る傾向があるとされていますが、皮膚の病巣の程度と相関しないことが多いようです。

つまり、わずかな水疱形成だけの患者さんが激しい神経痛を訴え、何日も眠れない苦痛を味わったかと思えば、皮膚の病巣が深く潰瘍形成を伴っている患者さんがまったく痛みを訴えないケースもたびたび見られます。

発疹と痛みには3つのタイプがあります。

  • タイプA:発疹が出現する1週間から10日前に痛みだけ出現
  • タイプB:痛みと発疹が同時に出現
  • タイプC:発疹が出て1週間後位に痛みが出現

また、痛みは「神経痛様疼痛→軽い痛みを伴う痒み→痛みを伴わない痒み」と変化していくのが通常です。しかしながら、症例によっては神経痛様疼痛が数年続く症例もみられます。多くの場合は高齢者ですが若い症例のケースもあります。

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病巣のできている部位の所属リンパ節の腫大がしばしば認められます。当院では、内服薬、処置、注射、場合により以前は点滴治療も行っていました。

内服薬は保険でもかなり高価ですが、劇的に症状の改善が見られる抗ウイルス剤が開発され、それを処方しています。「ファムビル」「アメナリーフ」が代表的で、「アメナリーフ」は胆汁から排出されるため、腎機能が低下した高齢者にお勧めです。

その他、消炎鎮痛剤、神経痛様疼痛に有効な「リリカ」「トラムセット」などの新しい内服薬も主流です。以前使われていたロキソニンは胃腸障害と腎機能に影響があるため、当院では高齢者のケースには使用していません。

以上の薬に加え、神経の炎症の改善を期待してビタミンB12を処方しています。

注射は「ノイロトロピン」の皮下注射を毎日行います。ここで大事なことは、本疾患の初期においてウイルスをたたき、治療することが後々の帯状疱疹後神経痛の発症の予防、あるいは軽減に役立つと考えられるからです。

なお、処置している期間は入浴禁止です。体をよく清拭して、睡眠を十分にとるようおすすめめします。

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60歳以上の希望者は帯状疱疹の予防注射を行っております。自費となりますのでご相談のうえお申し込みください。完璧に防ぐことはできませんが、神経痛の悪化を防ぐ一助になると考えています。

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