爪の病気
当院でご相談いただく爪の病気は、主に「爪水虫」「巻き爪」「陥入爪」が多くなっています。
爪水虫(爪白癬)
爪白癬の患者さんに対しては、患者さんの希望により専用の外用薬の塗布、またはネイリンの3ヶ月間の内服治療のどちらかをおこなっております。
ネイリンとは2018年に20年ぶりに登場した経口真菌剤です。内服しても0.03%しか腎臓に移行しないとされているため、以前の薬剤に比べ肝機能への副作用が少なくなります。また、3ヶ月内服するとその後9ヶ月間も治療効果が期待できます。
さらに、爪の外用薬の治療効果が15%なのに対し、ネイリンは60%あるとされています。
以上の利点をもっている抗真菌剤は爪白癬の患者の新しい選択肢となります。
巻き爪・陥入爪
巻き爪になる主な原因については以下のようなことが考えられます。
爪水虫(爪白癬)
爪がもろくなり、変形することで巻き爪になることがあります。根気よく完治するまで治療しましょう。
足アーチの崩れ・外反母趾・偏平足
足アーチが崩れると親指にかかる圧力のバランスが崩れ、爪の脇の肉が盛り上がることで巻き爪になります。
扁平足になると重心が土踏まずの部分にかかり、足の親指側への負担が増えます。それに加え、幅が狭くつま先が細くなった靴を履くと、親指が内側に圧迫され「くの字」になりやすく、外反母指を誘発し、巻き爪の原因となる場合があります。
医療用インソールを利用したり、自宅では裸足になって底と足の指で踏ん張るように歩くよう意識したりするなど、地面を踏みしめて歩くことを心がけましょう。
つま先の圧迫
ストッキングや靴下などによる長時間の圧迫、サイズや形の合わない靴を履くことや、つま先に過度の負担がかかるスポーツ(ジョギング・ウォーキング・登山・サッカー・バスケットボール)を長時間行うなど、つま先への圧迫を長時間行わないようにしましょう
運動不足
巻き爪予防には、つま先に地面からの適度な圧力がかかる歩き方や生活をすることも必要です。正しい靴を履き適度な運動を心がけましょう。
深爪
長さ、形ともに理想的な形に整えましょう。
その他
内疾患が原因の爪の変形、遺伝的な爪の形状、加齢による爪の乾燥や肥厚、爪周囲の角質
の肥厚、ケガ、ひざや腰などの痛みをかばうことでのバランスの崩れなど。
巻き爪に対しては、その状態によって段階別に処置および治療を選択しています。
1.ガーゼの挿入
軽い巻き爪に対しては 以下のように(ピンク部分)ガーゼの挿入をおこなっています。単にガーゼの挿入のみで巻き爪による痛みが消失したケースを多々経験しています。
2.ガーゼの挿入+テーピング
次の段階に入るとガーゼの挿入+テーピングの使用へと進みます。
3.スリットを入れる
スリットは特に爪白癬による巻き爪に有効です。以下(水色部分)のようにスリットを入れることで巻き爪の曲がりが改善し、歩行時の痛みがなくなります。
4.根治手術
巻き爪が進行し、過剰肉芽の形成を伴う陥入爪のケースでは、陥入爪のための根治手術をおこなっています。
当院では巻き爪・陥入爪に対してはワイヤーやプレートで矯正を施していますが、矯正では無理なケースに対しては局所麻酔下にて根治手術をおこなっています。
- 足先の陥入爪近くを舟状に切除、縫縮することにより病的に増殖した肉芽が処置しやすくなる。
- 爪の生え際に斜めに切開を入れる。
- 陥入爪をレーザーで線状に切開して摘出。
- 爪床部はCO2レーザーで焼灼。
- 肉芽面を形成している場合はハサミかレーザーで取り除く。
※巻き爪の治療が正しく完了した場合でも、巻き爪になってしまった原因が改善されていなかったり、足に合っていない靴を履いたり、深爪をしたり、内臓疾患や特殊な遺伝的要因により爪が湾曲する症状がある場合は、巻き爪の状態に戻る場合があります。
※巻き爪は根本から巻いていることがほとんどです。そのため爪先の部分を治しても、また巻いた爪が根本の部分から生えてきてしまうため、痛みがなくなったからといってすぐにやめてしまうと、また元の状態に戻ってしまう可能性が高くなります。根本的に治るまで続けることをおすすめしています。
※巻き爪の矯正を行っても、巻き爪になった原因が続く限り、残念ながら再発の可能性があります。定期的に矯正する事をおすすめします。ご自分でできるケアもありますので、再発の予防をしましょう。
爪切りについて
爪切りのタイミング
お風呂あがりの爪が柔らかいときが理想的です。足は月に1回、手は2週に1回位を目安にお手入れしましょう。その際、よく切れる爪切りを使用しましょう。
長さ
伸びた白い部分を0.5~1ミリ残し、指の先端に揃う長さにしましょう。
形
まっすぐ切り、角を四角く残し爪やすり等で軽く丸みをつける程度にしましょう。
※ご自分での爪切りが難しい方は、来院時に遠慮なく声をかけてください。